
音圧の波って、ゼロより上にも下にも振れるんだね。平均したら消えてしまわない?

そのまま平均すると、正負が打ち消し合うことがあるよ。RMS、つまり実効値は、各時刻の音圧を二乗してから時間平均し、最後に平方根を取る。p_rms=√{音圧p(t)²の時間平均}という順番なの。
説明用の正弦波。実際の排気音の実測ではありません。正負に振れる音圧を、そのまま足して平均する方法とは異なります。
波の頂点と、二乗平均から作る値 説明用の波形模式図。縦軸は静圧からの音圧変動、横軸は時間。RMSは波の高さの算術平均ではない。実車の録音や検査結果を表した図ではない。

頂点の高さだけを見るピークとは、作り方が違うんだ。きれいな正弦波なら、どのくらい違う?

整数周期を含む区間の正弦波なら、RMSはピークの1/√2。ピーク1 Paなら約0.707 Paになる。同じ基準でレベルへ換算すると約3.01 dBの差。ただし、形の違う波にも一定の3 dB差があるわけではないよ。
| 仮想波形 | ピーク音圧 | 区間RMS | RMSからのLp |
|---|---|---|---|
| 区間全体に正弦波 | 1 Pa | 約0.707 Pa | 約90.97 dB |
| 区間の25%だけ同じ正弦波、残りはゼロ | 1 Pa | 約0.354 Pa | 約84.95 dB |
同じ観測時間で、正弦波部分が整数周期となる理想化。基準音圧20 μPaで計算した仮定データ。A特性やF時間重み付けは使用していない。法定測定の最大値が約6 dB下がることを意味しない。

短く鳴る音だと、見る時間の長さも大事なんだね。じゃあ騒音計のMAXは、このピーク?

表示している量を確かめよう。Lpeakは瞬時圧力の絶対値の最大に基づく量。一方、L_AFmaxはA特性とF時間重み付けで処理したレベルの、測定中の最大値。波の頂点へ直接定規を当てた数字とは違うの。

Fって、125ミリ秒ごとに平均するという意味?

時定数が125 msの指数時間重み付けだよ。過去へさかのぼるほど重みを小さくして、二乗した音圧の変化を追う。125 msで箱を区切る単純平均ではないんだ。測定区間全体のエネルギー平均を表すL_Aeq,Tとも、役割を分けよう。
| 記号 | 知りたいこと | 確認する条件 |
|---|---|---|
| Lpeak | 瞬時圧力のピークはどれほどか | 周波数重み付けと観測区間 |
| L_AFmax | A特性・Fで処理したレベルの最大はどれほどか | A特性、F、測定区間 |
| L_Aeq,T | 区間Tの音のエネルギー平均はどれほどか | A特性、平均を取った区間T |
L_Aeq,T=10 log₁₀{区間Tのp_A(t)²の平均/p₀²}。p_AはA特性処理後の音圧、p₀は20 μPa。dBの表示値をそのまま算術平均する式ではない。
ここだけ覚えよう
- RMSは二乗→平均→平方根。ピークとは異なる作り方の量。
- 正弦波のpeakとRMSの比は√2だが、任意の波形へ一般化しない。
- Lpeak、L_AFmax、L_Aeq,Tは、音を集計する方法が異なる。
わかったか、確かめよう
ピーク1 Paの音が2つあれば、区間RMSも同じと言える?
自分の言葉で考えてから、答えを開いてみよう。
答えと理由を見る
言えない。RMSは区間全体の二乗平均から決まり、音が続く時間や波形にも依存する。表の連続正弦波と25%だけ鳴る正弦波は、ピークが同じでもRMSが異なる。
迷ったら「RMSとピーク、「最大値」はどう違う?」を読み直す →この回の出典・参考資料
- 小野測器|音圧レベルとデシベル ↗
空気中の基準音圧20 μPa、音圧の実効値と音圧レベルの関係。
- 小野測器|周波数重み付けと時間重み付け ↗
A・C・Z特性とF・S時間重み付け。Fは時定数125 msの指数時間重み付け。
- 小野測器|騒音レベルと等価騒音レベル ↗
L_AFなどの添字、区間のエネルギー平均を表すL_Aeq,T。
- 小野測器|最大値LmaxとピークLpeak ↗
時間重み付けしたレベルの最大値と、瞬時圧力のピークの区別。
- RION|音響振動テクニカルノート106(PDF) ↗
第1.2・1.4節の周波数、実効値、正弦波のpeakとRMSを参照。共通する波形数学の資料で、自動車の検査基準ではない。
制作・資料確認:CAR BOUTIQUE JOURNAL 編集部
更新 2026-09-22 · 資料確認 2026-09-22。シュナと莉奈は架空の案内役です。図の寸法や配置を整備手順として使わず、対象車の取扱説明書を確認してください。
